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第35回今回の「なるほど川上さん」は前回の続きで「リスクマネジメントのプロセス」のステップ2「リスクの評価」をお届けします。

① リスクの発見
② リスクの評価
③ 解決手法の選択
④ 意思決定

リスクマトリクスにプロットする!
前回、リスクの発見のお話しをさせて頂きました。発見したリスクに対してどのような対応方法があるかについてみていきたいと思います。先ずは想定したリスクを評価してみるのですが、リスクの評価方法はいくつかあります。
リスク評価の代表的な方法として「リスクマトリクス」の作成があります。
この方法は、事業への影響度と発生確率をマトリクスにするもので縦軸に影響度、横軸に発生確率をとって図で表します。前回でチェックした項目をこのマトリクス上にプロットしてください。業種や業態、規模、事業の成長過程などによってリスクの事業への影響度や発生確率は異なるので、どういうリスクがどこにプロットされるか流動的に考える必要があります。
リスクマトリクス

 

マトリクス上にそれぞれのリスクをプロットすることができれば、対応の順位を考えられる。最初に対応すべきリスクはリスクの事業への影響度が高く、発生確率も高いゾーン「1」である。次に影響度が高いがリスクの確率は低いゾーン「2」、3番目にリスク発生率は高いが影響度が低いゾーン「3」、最後にどちらも低いゾーン「4」となる。

リスクの発生確率を算出する。
リスクが表面化する確率は、災害や事故、不祥事など、いわゆる「守りのリスク」について過去のデータが役立ちます。自然災害などの影響で被るリスクについては過去に発生した地震や台風、津波などのデータに基づき行います。また事故や不祥事については過去の事故データや、そこまでには至らなかったが一歩間違えば事故などが生じていてもおかしくなかったであろう事象のデータ(インシデント、ヒヤリハット、不適合データ)が参考になる。
ビジネスリスク、いわゆる「攻めのリスク」については発生確率をどう見積もるかが難しいだろう。契約条件や商品の陳腐化などのマーケティングリスク、取引先の経営不振による与信リスクなどは変動要素が大きく、経営環境の変化や事業特性、法令や制度の変更なども影響するため、多角的な評価項目を設けて発生確率を算出する必要があります。
過去のデータ、精度など事業環境の変化要因、マーケットの変動要因、競合の参入または撤退要因、得意先・取引先の経営悪化要因などを評価項目としてそれぞれ定量化する必要があります。

事業への影響度を算出するには、中核となっている事業と復旧するまでの時間を考慮するとよいでしょう。製造業であれば中核となっている商品の工場のラインがストップすれば大きなダメージになるだろうから、工場のラインがストップした場合の事業への影響度と、その工場が復旧するまでの時間をコスト化して算出する。例えば、地震、感染症による隔離
、テロによる被害などによって事業がどの程度影響を被るかを被害想定してみればよいと考えます。その際に現状の体制で業務の復旧に要する時間がどれくらいかかるか見積もることが重要です。

次回の「なるほど川上さん」はステップ3「解決手法の選択」解決方法の一つ「リスクコントロール」について解説していきます。

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