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第34回「なるほど川上さん」は「リスクマネジメントのプロセス」をお届けします。

リスクマネジメントには適切なプロセスが必要です。場当たり的な対応やその場しのぎの解決を図っても根本的な問題が残っていて、再度同じような問題が噴出することがあります。問題を俯瞰して捉え、的確な意思決定を行って計画的にマネジメントすることが必要です。

リスクマネジメントプロセスの基本的な流れは下記の通りです。

 

  • リスクの発見
  • リスクの評価
  • 解決手法の選択
  • 意思決定

さらに、このプロセスを継続的に進めることで改善の仕組みを作ることが大切です。

発見したリスクに対して適切な手法を選択し、その実行がなされた後もモニタリングを行って適切にリスクがマネジメントされているかどうかを確認する。その中で、もし当初狙っていた結果が得られないと判断した場合には再度リスクの発見から評価のプロセスを見直す必要があります。こうした継続的な改善活動によってリスクマネジメントの成果は向上し、精度の高いリスクマネジメント組織を作りあげることができるようになっていきます。

 

では、①リスク発見の方法を解説していきます。

先ずはリスクの洗い出しから始めます。

リスクの種類。事業活動の実態などにより、適切な方法を組み合わせ、漏れの無いリスクの洗い出しが求められます。

例えば、下記の様なことがらを洗い出してみましょう!

  • 過去の事故データ
  • 財務諸表(在庫回転率、生産コスト、在庫コストなどの詳細なデータ)
  • 現地調査
  • 契約書や諸規定などの文書
  • 内部監査や外部監査
  • 内部告発
  • マーケティングデータ
  • インターネット上の情報管理
  • 質問表、チェックリスト、フローチャート
  • 専門家の活用

などなど…

リスクの洗い出しの方法の一つとしてチェックリストがありますが、事業への影響度が高いものを下記のチェックリストから挙げてみましょう。

レ                   レ

1商品サービスが顧客ニーズと不一致   20労務管理 従業員・役員の退職  
2競合他社の新商品のリリース   21組織分裂  
3競合または異業種の業界参入   22セキュリティ 情報漏洩など  
4得意先の経営悪化 債券焦げ付き   23ヒューマンエラー  
5取引先の経営悪化 商品調達不可   24製品の不正使用  
6提携先の不祥事や事故、経営悪化   25株主による経営介入  
7資金調達不能   26従業員・役員による不正や過失  
8契約条件交渉 現在・未来   27税制・租税対策  
9業務提携解消 パートナーとの離別   28雇用者責任  
10ランニングコストの負担増   29役員の退職金準備  
11イニシャルの未回収   30経営者の死亡・傷病  
12商品回転率の悪化   31マスコミの情報 広報活動  
13商品の陳腐化   32消費者(団体)の行動  
14品質悪化 製品回収やPL   33災害や事故 自社、調達先、得意先  
15顧客によるクレーム 風評被害   34為替変動  
16誇大広告   35天候不順  
17ブランドコンテンツの陳腐化   36戦争、内紛、政策変更、犯罪  
18ビジネスプロセスの変更   37環境問題、住民訴訟  
19法令の変更 行政施策や規制強化   38経営者のリスク認識の甘さ  

 

上記チェックリストはいかがだったでしょうか?事業によっては他にも考えなくてはならないものがあると思いますが、チェックのポイントはリスクの発生確率で考えるのではなく、リスクが表面化した場合の「事業への影響度」で考えることです。

起きるか起きないかで考えるのではなく、起きた場合に事業は存続しうるか?で考えなければなりません。仮にわずかな発生確率だったとしても、そのリスクがもたらす事業への影響度が高ければ、少なくともそのリスクへの想定はしておくべきで、起きてから「想定外だった」という言い訳をするのは、経営者のリスク認識が甘かったと考えられても仕方ありません。

創業経営者の場合は特に、起こることは考えにくい!?または考えられない!のに事業への影響が甚大なのは経営者の死亡や傷病ですので、退職金や弔慰金だけではなく、借入金の返済金や事業継続のための運転資金なども考えなくてはなりませんし、廃業する場合にもお金がかかりますので、前回の特別回でご説明させて頂いたように、生命保険で準備することは重要です。また、あらゆるリスクに対して保有するのか移転するのかを専門家を交えて話しあった方が良いでしょう!

 

次回の「なるほど川上さん」は「リスクマネジメントのプロセス」のステップ2「リスクの評価」をお届けします。

 

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