前回、リスクマネジメントの効用として次の①から④まで解説させていただきました。
- 企業価値の創造
- 企業イメージの向上
- 信頼性と透明性の確保
- 効果・効率性の向上
- 費用対効果
- 情報の開示
- サステナビリティの対応
今回⑤⑥⑦の効果について解説していきます。
- 費用対効果
今までは各部門でおこなってきたリスク対策が会社全体で展開されることでリスクの対策費用が適切に分配され、全社的な取り組みにより費用の圧縮につながるケースもあります。
一例をあげると生命保険・損害保険が良い例です。リスクの評価、分析を行うことで、保険でリスク移転をしていたものが軽減したり、不必要な場合もあります。
その場合、保険料を減額したり、場合によっては解約できる場合もあります。
リスクに対する集中管理をすることは個々に存在したリスクの特性、関係性、影響度が判定でき、効果的にリスクのプラスの影響の促進、マイナスの影響の予防の機会を増やすことにもつながります。
資本及び資源の選択と集中は全社的な優先度が高いか、低いかを見極めて高いものに投資を変更することが費用対効果につながると考えます。
- 情報の開示
企業価値を高め、激化する競争を優位にしていくためにはリスクマネジメントとコーポレートガバナンスに関する情報の開示をすることが大切です。
潜在的なリスクを明確にし、評価を実施していること。
管理手段を構築してモニタリグを実施していること。
リスクに対して迅速に対応できる体制があること。
万が一、企業にマイナスの影響を及ぼす事態が起きても、企業価値を損なうことなく事業を継続できることを保証することとなるでしょう。
そして、ステークホルダーに対しては将来にわたっての持続的発展のための理解と企業価値に対する高い評価を獲得するために重要なことです。
- サステナビリティの対応
時代とともに人々や社会のニーズと期待は変化していきます。今強く求められているものは将来にわたって持続可能な成長を実現できる会社です。
サステナビリティの評価は3つの側面で実施されています。
「企業は社会の一員として3つを遵守し、社会的責任を果たすことを求められている」
- 経済的側面
- 社会的側面
- 環境的側面
- 経済的側面とは
株主への利益還元
社会へ有用な商品やサービスを提供する
リスク、コーポレートガバナンス上の課題を管理する
持続的発展をする企業運営
2,社会的側面とは
雇用の創出をする
働く人の質の向上と、安定した高い生活を保障する
地域社会への貢献をする
3,環境的側面
商品やサービスおよび活動で生じる環境への考慮
直接的影響(測定可能なもの)、間接的影響で地球環境への考慮
(商品の輸送中のトラックの排気ガスや外部倉庫で使用されるエネルギーなど)
短期だけではなく、中長期的な視点で地球環境に及ぼすものに対する負担は誰がするのかという議論が巻き起こっている今日、企業に求められることはたくさんあるということです。
次回の「なるほど川上さん」は「企業価値の創造」をお届けします。