川上 毅

第19回 「なるほど川上さん」は相続のお話の8回目

相続対策の②の借金をしてアパートやマンションを建てる。

 

さて、アパートやマンションを建てることにより相続税対策になるのでしょうか?正解から申しますと、相続税対策になる場合と、ならない場合があります。

 

〇相続税対策となる場合

相続税法の仕組みを理解すると、新築のアパート・マンションは、相続税の評価額を大幅に減額させますので、相続税対策として有効です。

 

〇相続税対策とならない場合

建設資金の借入返済期間が長期にわたるため、この間に空き室がでるとか、家賃の不払いや大規模な修繕などが資金繰りに影響し相続対策にならないこともある。

 

大手の建築会社が相続対策セミナーを開いて、新築のアパートやマンションを建てることにより相続税対策になり、対策をしないと莫大相続税を払う羽目になる!と声高々と謳っております。ただ相続対策になる場合、ならない場合、それぞれもご家庭の資産に応じて違ってくるにも関わらず、税法などを持ち出して、話を難しくしお客様をただただ不安にさせます。後日の個別相談の際に簡易計算された相続税を見てびっくりして建築に前のめりになってしまう方も多く見受けられます。

 

そもそも、相続税は土地の評価でだいぶ変わってきます。様々な控除もあり簡単に計算できるものではありませんので、建築に前のめりになる前に、まずは税理士先生に相談してみてはいかかでしょうか?

 

私が、1番お伝えしたいことは、アパートやマンションを建てることで、相続税を払わなくて済むかもしれませんがそのために億を超える借金(長期の固定負債)を背負うことになるのです。被相続人が無くなれば借金は無くなりますが、人はいつ死ぬかなんてわかりません。

人生100年時代といわれていますので超長生きをするかもしれません。また、まだまだ大丈夫と思って、アパートを建てて相続税対策をしようと思っていたら、造成工事中に亡くなってしまい、対策にならなかった!というケースも見てきました。

 

それに、相続対策でアパートやマンションを建てるという考えが間違いですね。建てただけで終わりではありません。長年にわたり経営をするということです。

経営という観点から考えて、アパートやマンションを建てるのに本当にふさわしい立地なのか?また管理を任せるのではなくご自身で管理していく気概がなければ、少しの相続税をケチったせいで莫大な負債や苦労を背負うことになります。そして次の代に代替わりする際にも多くの負担を掛けることにもなりますので、慎重に行って頂きたいと思います。

私が所属している「相続の窓口」では多くの専門家が相談に乗ってくれますので、お気軽にお問合せいただければ、問題の解決につながると思います。

 

さて、次回は相続対策の③生前贈与をお届けします。

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