民法がらみの相続争いについて解説していきます。
民法がらみの相続は、条文等が多く少し難しいかもしれませんが、抑えていきましょう!
民法がらみの相続争い
1.遺言優先主義
遺産分割は、遺言があれば共同相続人の協議に優先します。
①遺言書で法定相続分以下の財産しか取得できなかった者は次の行動にでることがあります。
イ.遺言書の無効の訴え
高齢者の書いた遺言に対して、意思能力がないという訴えをする場合があります。
ロ.遺留分減殺請求
遺言があり、相続人が取得した財産が遺留分以下の場合、遺留分減殺請求をする場合があります。また、その請求には期限があることから、内容証明郵便で請求期日を明確にしないと時効の問題が生じます。
(民法改正で、遺留分は現金で支払うことになりました。)
2.遺産分割協議
①法定相続人が話し合いで財産を分割する場合
イ.話し合いによる遺産分割は法定相続人全員の承諾が必要です。
ロ.特別受益や寄与分がある場合の法定相続分の修正。
特別受益とは、生前にもらった財産のことです。特別受益の確定は、相続人間の不公平を解消するのに役立ちますが、実務上はその範囲や金額の確定をすることが難しいようです。
寄与分とは、相続人の被相続人に対する貢献度をいいます。寄与分は相続人間の不公平を解消するのに役立ちますが、寄与分には明確な基準がなく、その範囲と金額の確定が難しいようです。
②共同相続人の協議が整わない場合
相続人が家庭裁判所に請求して調停又は審判により分割します。
③分割協議に参加しない相続人がいる場合
分割協議に参加しない法定相続人がいる場合は、家庭裁判所へ調停の申し立てをすることができます。
④行方不明者がいて分割協議できない場合
法定相続人が行方不明で分割協議できない場合は、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申立てることができます。
⑤遺産分割協議書に書き忘れた財産
遺産分割協議書に書き忘れた財産が生ずることを想定して、特定の者が財産を取得する旨を分割協議書に書いておくと安心です。
記載例:『上記に記載した以外のすべての財産は○○が相続する」
3.債務
債務は各相続人が法定相続分に応じて分割されます。
ただし、相続人間で分割協議により負担割合を決めた場合は、その分割は有効ですが、債権者は相続人間の分割協議に内容に従う必要はありません。債権者は各相続人の法定相続分に応じて請求できます。
4.代償分割
遺産分割協議書では、現物分割により代償金を支払う方法があります。遺産分割協議が成立した後に代償債務の不履行があると相続人間にトラブルが生じます。
民法がらみの相続は家族関係を悪くさせます。遺言書を書いておけば安心ということはありません。
次回は人間関係から起こる相続争いを解説します。