知久 実華子

介護保険は必要なのか。「いちから教えて実華子ちゃん」

前回に引き続き介護保険のお話にはなるのですが、今回は公的介護保険制度に関して話をしようと思います。

ニュース等で知っている方も多いかと思いますが、先日10月31日に厚生労働省が介護保険制度の見直しに向け議論を開始しました。

介護保険制度は3年に1度、制度改正が行われるのですが、次回の改正時期である2024年度に向けて大幅な改正が行われる可能性があると言われています。

今回の改正で上がっている議題は、現在介護を受けている方やそのご家族様だけでなく、現役世代にも影響を及ぼす可能性がありますので、今後介護サービスがどう変化していく可能性があるのかという点を頭にいれておきましょう。

民間の介護保険を検討する上でも、そもそもの基礎である介護保険制度を理解することは大切なことです。

まず、公的介護保険制度に関して基本的な部分を改めてお話します。

現状の介護保険制度というのは、要介護状態になり介護サービスを利用した際にその費用が原則1割で済むという公的保険です。

65歳以上の人が第1被保険者、40歳~64歳までの人が第2被保険者となり、会社員の方であれば40歳を過ぎると給料から介護保険料が引かれる形です。

65歳以上であればサービス等受けられますが40~64歳迄の方は限定されています。

今回この公的介護保険制度の見直すに当たって特に注目されている論点の中から、より幅広い方へ影響の出そうな内容に絞ってお話します。

まずは、介護保険サービス利用料の自己負担額の拡大です。

上記にも書いたように現在は原則1割負担となっていますが、収入によって2割の方や3割の方もいらっしゃいます。

現状では1割負担の人が約90%以上、2~3割負担の方が10%に満たない状態ですが、今回の改正の議論の中でこの2~3割負担の対象者を拡大するということです。

要介護3の方の場合、現在介護支給限度額は月270,480円迄となっていますので、1割負担の場合、月27,048円ですが、ここが2割になると月54,096円。3割の場合は81,144円とそれだけ差が生まれます。

2,3割に該当した場合、今までよりも負担額が一気に増加する為、ひと月当たりのサービス利用料が数万単位で負担増する形となり家計に対する打撃が大きくなります。

次に各サービスの有料化に関してです。

まず、介護保険サービスを受ける上で必須となるケアプラン作成有料化です。

現在、1か月の中でどの介護保険サービスをどれくらい使うかといった介護計画となる

ケアプランをケアマネジャーの方が作成してくれますが、現在は全額保険給付となっており自己負担額はありませんが、他の介護保険サービスと同様に介護負担割合に応じて自己負担を設定すべきだという話が出ています。

他にも、相部屋(多床室)の室料有料化や、歩行器や手すり等の今まで原則レンタル品だったものを購入にする等、今まではサービス範囲内だったものが外れ、自己負担額が増加するような議題が多く入っています。

最後に、介護保険料の支払い対象年齢の引き下げです。

現在は40歳以上の方が介護保険料を支払っていますが、この年齢を引き下げることにより介護保険料を支払う年齢を広げるということです。

日本は少子高齢化が進んでいるため、現在の40歳以上の方の保険料だけでは制度が維持できないということです。

特に近年では、給料もなかなか上がらず、年金ももらえるか分からない。

それに加えて介護保険料を払うのも前倒しとなったら、若い世代はより負担が多くなる形となります。

今回は、あくまでも議題にあがった内容の一部です。

また何年にもわたって議論されている内容もあるので、次の介護保険改正である2024年には実現しなくても、この先実現する可能性は高いと言えます。

日本は公的制度が充実していると言われていますが、この先続くかどうかは分かりません。

少なくとも悪化していく可能性の方が高いかと思います。

これは介護制度だけでなく、医療制度に関しても同様です。

保険不要論・保険必要論等、ネットを見ていても様々な意見が出てきますが、

ただ表面的な部分だけで判断するのではなく、色んな情報を元にご自身にとって、何が必要なのか、きちんと判断していきましょう。

関連記事