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第23回 「なるほど川上さん」は相続のお話の12回目

今回は前回に引き続き、「相続対策の⑤生命保険に加入する!」の「生前贈与を活用する!」をお届けします。

 

平成27年の税制改正により、相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられる改正がなされたために、相続税の課税対象になる方々が増えたため、節税対策として「生前贈与」が注目されることになりました。

ただ、生前贈与で現金を贈与する際に懸念されることがあります。

贈与には基礎控除の110万円がります。つまり、1年間(1月1日~12月31日)までの間に110万円以下の贈与であれば贈与税がかからないということです。

資産(現預金)をたくさんお持ちの方であれば、お子さんやお孫さんへ年間110万円

以内での贈与を複数年に渡って行うことで、贈与税を一切払わずに資産の移転ができ、資産移転することにより相続開始時に相続税の軽減にもつながります。

ただし、気を付けなくてはならないのは、相続開始時前の3年以内に贈与を受けた相続人は相続税に加算される持ち戻しのルールがあることや、毎年同じ受贈者に同時期・同額などの贈与を行った場合、定期贈与に該当されてしまい、今までの贈与分を通算して受贈者に贈与税が課税されてしまうこともありますので、注意が必要です。

さて、生前贈与の税のメリットはわかっても「贈与すると無駄遣いされてしまうのでは?」

と懸念されるかたが多くいます。

住宅資金や教育資金の一括贈与などでは、目的がはっきりしているので、そんな心配はいらないのですが、毎年の暦年贈与の場合は心配になりますし、受贈者も毎年もらえるならということで散財してしまうこともよく聞くことです。

 

お子さんやお孫さんにお金を渡すこと自体は問題ないのだが、「俺(私)の目の黒いうちは散財するな!」が本音でしょうね。

 

そこで、受贈者が無駄遣いできないように「生命保険」を活用することができます。

一例をあげると父(贈与者)が息子(受贈者)に毎年110万円を銀行口座に振り込み贈与します。息子は贈与を受けた金額以内で契約者(息子)被保険者(父)受取人(息子)の死亡保険契約を行います。この契約形態では、被保険者(父)がお亡くなりならない限り、受贈者である息子は、父が亡くなるまで贈与された現金を使うことができないということになります。

生命保険は通常は亡くなった場合の死亡保険金は保険料より高額になりますので、より多くのお金を移転できるというメリットがあります。

息子が受け取った死亡保険金は、一時所得となり「(死亡保険金―既払込保険料-50万円)×2分の1」となります。

 

二例目

医療保険や介護保険などを活用する場合

お子さんやお孫さんを被保険者とした契約で医療保険や介護保険に加入してその保険料を負担してあげるという方法です。

保険料の払い方は様々な方法があり、一時払い、全期前納、短期払いなどの仕組みを利用して保険料を納めれば生前贈与の方式となります。一生涯の保障を前もってプレゼントできるという効果と、このやり方だと無駄遣いはできませんよね。

 

生命保険を活用した生前贈与の方法はいくつかありますが、あまりテクニカルな手段を取ってしまうと、何を目的に加入したのかわからなくなり、そもそも生前贈与で生命保険を活用する必要があったのか?など後々トラブルになることもあります。また今後の税制の変更で使えなくなる場合もありますのでよくお考えになり、ご家族とも話しあって決めた方がよろしいかと思います。

また、110万円の基礎控除内での贈与にあまりこだわらないことも重要です。

そもそも資産家のかたが年間110万円の贈与を繰り返したところで、大した額を移転できませんので、相続税の軽減に繋がらない。贈与税を払ってでも高額な贈与をした場合の方が、

相続税を軽減するメリットがある場合もありますので、ご相談ください。

 

さて、12回続いた相続のお話しは今回で一旦終了です。次回からは企業におけるリスクについてお話をしていきたいと思います。

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